
株式会社GEトラスト

グリーンエネルギーのディベロッパー

今月のCEO Message
~ 代表 久保田 誠二のメッセージ ~
太陽光発電への逆風 2025年 11月
再び太陽光発電への逆風が強まっています。高市新政権では、自然破壊や災害リスクのある大規模な太陽光発電所(メガソーラー)の規制に向けて16法令の改正・見直しを検討する事になりました。
具体的には種の保存法(環境省)⇨絶滅危惧種へ影響を及ぼす開発の規制、景観法(国交省)⇨地域景観を損なわないように規制、文化財保護法(文科省)⇨天然記念物への影響調査、森林法(農水省)⇨隣地開発違反の厳罰化などが挙げられています。
絶滅危惧種への影響とあるのはここ数ヶ月大きく報道されている、北海道の釧路湿地での発電所建設を念頭にしたものでしょう。この開発でタンチョウへの影響が懸念されているとの事。釧路市は工事中断を勧告し、事業者は一時中断するものの早期再開を求めていて今後の展開が注目されます。千葉県の鴨川市でも面積146万平方メートルのメガソーラー建設が、残すことになっている森林約1万5000平方メートルを伐採して中断となっています。写真を見ると山丸ごと削っており、これでは台風が来たら全部崩れ落ちるだろうと近隣住民の中止の声も無理ないかなと思います。
新たなメガソーラー開発が難しくなっている現状で、無理をしてでも大規模な開発をしたくなるのは同業者として気持ちはわかりますが、社会全体から反発されないように節度を持って取り組んで欲しいと切に願います。
鴨川市の開発風景

洋上風力発電に暗雲 2025年 10月
8月末、三菱商事が洋上風力発電事業からの撤退を発表しました。これは2021年に千葉県銚子市沖、秋田県能代市沖、同県由利本荘市沖の3海域での洋上風力発電所の建設・運営事業を国から落札したものです。2028年以降の完成を目指していたものの、円安、資材高、労務費の高騰を受けて事業を再評価。特に建設費が当初予測の倍以上になったため、このまま継続しても売電収入よりも総支出の方が大きく事業継続は困難との結論に至ったとのこと。
21年の入札は固定価格買取り制度に基づいたものでしたが、競合他社が1キロワットあたり20円程度に対し、三菱商事連合は1キロワットあたり11〜16円台という激安価格で、私も当時「そんなに安い価格を提示して、大丈夫なのかなあ」と思った記憶があります。当時は洋上風力が世界中に拡大して資材費が安くなり、洋上風力建設のノウハウも広まって事業コストが安くなるというバラ色の未来が想定されていましたが、実際には真逆の結果となってしまいました。2024年の発電量コストは、陸上風力が化石燃料より53%低く、太陽光も41%低いという国際再生可能エネルギー機関の発表です。これに対し洋上風力は、陸上風力より運用・保守に費用がかかり銅やアルミニウムの利用量が多く、物価高の影響も受けやすいため、依然として化石燃料より1割程度高い水準となっています。
アメリカではトランプ大統領が洋上風力を「目障りで割高、環境に有害」と一貫して批判しており、電気料金の値上がりの根源だとされています。三菱商事は25年3月期に洋上風力で524億円の損失を計上し、200億円の保証金も没収されます。一説には続ければ4000億円の赤字になったとの試算もあります。日本の最大商社が撤退するという一大時。日本の洋上風力の推進のためには、国の制度設計から見直さなければならない状況となっています。






