株式会社GEトラスト
グリーンエネルギーのディベロッパー
今月のCEO Message
~ 代表 久保田 誠二のメッセージ ~
熊本のTSMC工場に感じたこと 2024年 5月
ゴールデンウィーク、熊本の発電所に寄ったついでに菊陽町のTSMC(台湾セミコンダクターマニュファクチャーカンパニー)を視察しました。単に車で周囲を流しただけなのですが、畑の中に突如現れる威容を誇る建物に圧倒されました。現代的で巨大な工場とオフィスビルと、のんびりとした田園風景のコントラストが一種異様な印象を生み出しているのです。熊本空港あたりから眺めると、小高い丘にこれらの建築物があり、周辺一帯を支配する「城」を想像させます。
敷地面積は東京ドーム4.5個分、投資額は日本円で約1兆2900億円。新工場がもたらす熊本県内への経済波及効果は今後10年で約7兆、TSMC含む九州半導体産業の設備投資で約20兆円と推計されています。私は知らなかったのですが、九州は豊富な水源や安い電気料金で半導体の生産に適しており、「シリコンアイランド」とも呼ばれ1000社もの半導体関連企業が集まっているそうです。
日本政府も半導体復活と地域経済の活性化を企図し、5000億弱を補助しているとのこと。
実際に、近隣の田舎町に一戸建てやマンションがガンガン建設されていました。菊陽町の宅地の上昇率は20%を超え、新工場最寄りのJR原水駅は閑散とした無人駅だったのが通勤時間帯に行列ができるようになり、新駅の設置が決まったそうです。
黒船にも例えられるTSMCですが、元々は1987年に日本の下請けとして台湾に設立された会社なのです。1990年頃、日本の半導体産業は世界の半分以上のシェアを誇っていましたが、現在は8%程度。太陽光パネルも当初圧倒的に日本製が先行しており、我々がビジネスを始めた10年ほど前は品質の良いのは日本製だったのですが、あっという間に品質も価格も中国製に席巻されしまいました。半導体は何と言っても産業の中核なので、こういったケースを活用してなんとか世界の中心に返り咲いてほしい。熊本でしみじみと実感した次第です。
アフター FITのビジネスモデル 2024年 4月
先日、再エネのアグリゲーションビジネスを行う会社のセミナーに行ってきました。非常に興味深かったのは、AIを使って再エネを別々の、価格が最も高い市場に売るという考え方でした。電力には需給調整市場、スポット市場、時間前市場という3つの市場があり、AIを使って時間ごとの販売単価を予測し、3つのうち最も高い市場に販売するというのです。
さらにFIPを活用すると、売電収入に加えプレミアム収入が得られるので、シュミレーション上では現状のFIT価格を上回る収入が得られるということでした。蓄電池無しでキロワットあたり税別21円、蓄電池を加えると29円。蓄電池ありで需給調整市場も取り込むと、なんとキロワットあたり48円になるというのです。
後で個別に確認したところ、実証実験段階を始めたばかりで実績としてはまだないとのこと。低圧ノンFIT+蓄電池の実証も2年間やっているが、まだ蓄電池の単価が高いために利益は無いに等しいそうです。ちなみに蓄電池は15kWのものが135万円するので、kWあたり9万円程度になっている模様です。ぜひとも実証実験を継続し、利益が出るようなモデルを作って欲しいものです。我々の様な再エネの発電事業者が、設備を更新し、土地をメンテナンスして事業を続けないと、全エネルギーの8%に達した太陽光が消失してしまいます。民間も知恵を出し、国もそれをバックアップすることが必要です。FIT初期の発電所は2012年稼働ですから終了は2032年。あと8年のところまで来ているのです。